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■ 9月30日 ■
 涼やかな音色が一つ。
 ちりん。
 窓辺に吊された風鈴が鳴る。
 他に何の変化もなく、静けさが微かに乱れることもない。降りしきる無垢の雪も、彼方から漏れ聞こえる銃声も、日々の生活に関与しなければ遠い世界の話でしかなかった。何より気にしたところで始まらないのだ──どうせ何もかも終わるのだから。
 終わりが早いか遅いかの違いでしかない。
「……何もないなぁ」
「そうだねえ、拓さん」
「とにかく暇だなぁ」
「退屈だねえ、拓さん」
「ゲームもあらかたやり尽くしたしなぁ……適当なの買ってきてみるか?」
「それもいいかもねえ、拓さん」
「……」
「無言だねえ、拓さん」
「……なぁ」
「なぁに? 拓さん」
「おまえ今、なんも考えてないだろ」
「なんも考えてないよ、拓さん」
 稚けなき午睡混じりの時間。
 牛のように寝転がって過ごす、肌寒い秋の午後。
 とりあえず美雪の頭をひっぱたいて、拓也は深い溜息を零した。
「……痛いよ~……」
「うるさい、馬鹿」
 世界がいつ始まろうと、いつ終わろうと。
 二人はいつでも、おしなべて平和だ。

 世界が滅びるその日まで、あと百と一日。

テーマ : 自作恋愛連載小説
ジャンル : 小説・文学

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プロフィール

神楽坂司

Author:神楽坂司
世界が終わる。
無慈悲に優しく、無造作に哀しく。
無意味に虚しく、無感動に冷たく。
世界は終わる。
終わりの中で初めて紡がれていく、優しくて哀しい人々の絆。避けられない終局を前にしたとき、彼らの選択はこの世界に何を残していけるのだろうか──?

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