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■ 11月18日 ■
 拓さんが、武器を買ってこなきゃな、と言っていました。
 私達の住む街の中で、噂の歩く死体が見つかったそうです。病気のせいで、死体が動き回って、私達を襲ったりするのだと言っていました。
 拓さんは、何だかホラーゲームみたいだな、と言っていました。その後拓さんは、近所のホームセンターでゴルフクラブが安売りしているからと言って、一人で出かけてしまいました。途中で襲われたらどうするのって聞いたら、そのときは全力で逃げるから大丈夫だよ、と笑っていました。確かに拓さんは妙に足が速いので(昔陸上部に誘われたこともあるけど、面倒だから逃げたそうです。きっと逃げ足だけ速いんだと思います)、私が着いて行って足手まといになるよりはいいのかもしれません。
 死体ってまた殺せるのかな、拳銃の弾も残ってないしな、と言っていました。
 留守番をしている間、私はずっとクロスワートパズルを解いていました。近所の本屋さんから貰ったのです。電気もいつ使えなくなるかわからないし、テレビ以外の娯楽も探しておけよ、と拓さんにも言われていたので、ちょっとだけ好きだったクロスワードならと思って挑戦してみたのです。これが意外と面白くて、つい熱中してしまいました。
 拓さんが出て行ってからしばらくして、インターフォンが鳴りました。滅多にお客さんが来ることなんてないので、とてもびっくりしたのを覚えています。
 慌てて玄関まで走っていくと、女の人が立っていました。髪の毛が赤い、ちょっと格好いい女の人です。拓さんがいるかと聞いてきたので、今出かけていますけど、しばらくすれば帰ってきますよ、と言ったら、しばらく私の顔をじっと見て、その後いきなり走ってどこかに行ってしまいました。
 拓さんの知り合いだったのかなと思ってぼうっとしていたのですが、クロスワードもやりかけでしたし、いなくなってしまった人のことを考えてもどうしようもないので、すぐに部屋に戻りました。
 何かを忘れているような気がしました。
 でも、思い出せないので、あんまり大切なことじゃないのかもしれません。
 とりあえず、拓さんが帰ってきたら報告しておこうと思います。

 世界が滅びるその日まで、あと五十一日。

テーマ : 自作恋愛連載小説
ジャンル : 小説・文学

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プロフィール

神楽坂司

Author:神楽坂司
世界が終わる。
無慈悲に優しく、無造作に哀しく。
無意味に虚しく、無感動に冷たく。
世界は終わる。
終わりの中で初めて紡がれていく、優しくて哀しい人々の絆。避けられない終局を前にしたとき、彼らの選択はこの世界に何を残していけるのだろうか──?

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