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■ 12月18日 ■
 ゆらゆらと──どこまでも、果ても終わりもなく歩いていく。
 たった一人の姿を探して、赤城春奈は不安定な足取りで街を歩く。
 目はもうほとんど見えていない。
 意識は朦朧とし、思考は一つにまとまることなく雲散霧消していく。
 手足の骨は折れ曲がり、肉を裂いて飛び出している部分もあった。バランスを崩して倒れただけで、脆くなった骨は容易く折れ、腐った肉は簡単に破けたのだ。
 体が少しずつ壊れていく感覚に戦慄するが、だからといって歩みを止める要因にはならない。痛みもなく、不自由もさほど感じなかった。どうせ歩けなくなれば這っていくつもりだったのだから、辿り着けさえすればそれで全て報われる。
 ──報われる?
 何が報われるのか。
 何に報われるのか。
 記憶が剥落していく。
 何のために歩いているのか、どこを目指して歩いているのか、それさえ時間の経過と共に曖昧になっていく。
 ──ともゆき。
 思い浮かぶ言葉はそれだけ。本当に、それしかなかった。
 だからきっと、大切なこと以外は全部忘れてしまったのだろう。
 それでも春奈は歩みを止めない。
 殺さなければいけない人間がいる──自分の手で殺さなければ意味のない人間がいる。
 だから、春奈は歩き続ける。
 どれだけ視界が薄れても、どれだけ意識がぼやけても──思い浮かぶ、愛する人の名前だけが、彼女の足を動かしていく。
 彼女をそこへと導いていく。
 ゆっくりと。
 近付く。

 世界が滅びるその日まで、あと二十一日。

テーマ : 自作恋愛連載小説
ジャンル : 小説・文学

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プロフィール

神楽坂司

Author:神楽坂司
世界が終わる。
無慈悲に優しく、無造作に哀しく。
無意味に虚しく、無感動に冷たく。
世界は終わる。
終わりの中で初めて紡がれていく、優しくて哀しい人々の絆。避けられない終局を前にしたとき、彼らの選択はこの世界に何を残していけるのだろうか──?

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